日本で暮らす外国人や外国人を雇用している企業、外国人と一緒に暮らす方にとって、在留資格申請の結果がいつ出るかというのはとても気になります。申請する在留資格の種類や申請先の地方出入国在留管理庁の混雑具合によっては6カ月以上の期間がかかるケースもあり、日本へ来たり働き始めたりするスケジュールが立てにくくなっているという声を耳にします。そんな気になる審査期間の考え方と目安について、出入国在留管理庁が出している資料も分析しながら解説します。
この記事はこんな人におすすめ!
- 在留資格の申請をしたけれど結果が来なくて不安になっている方
- 雇用予定の外国人がいつから働けるか気になる企業の担当者
- 海外にいる外国人と日本で生活を始める予定の日本人配偶者の方
在留資格申請の結果が出るまでの審査の流れ
入管審査の基本フロー
申請された在留資格の審査は、基本的に以下の流れで進みます。
①形式審査
在留資格の申請が行われると、まず提出された書類に不備や不足が無いかどうかの確認があります。地方出入国在留管理庁の窓口で書類を提出した場合、通常はその場で書類の不足等が無いかどうか確認されます。どの在留資格の申請においても提出書類チェックリストが出入国在留管理庁のページに掲載されているため、そのリストを見ながら書類の不足が無いかどうか確認しておきましょう。
なお、オンライン申請の場合は申請書類を一つのデータにしてアップロードするため、申請時の確認はありません。書類の不足がある場合、追加での書類提出を求められることがほとんどですが、不備や不足が著しい場合には申請そのものが却下される場合もあるため注意が必要です。
②内容審査
提出された書類に不備や不足が無ければ、提出された内容の審査に入ります。
この時重視されるのが以下の3点です。
・在留資格該当性:入管法で定められた「在留資格」のいずれかに”該当”する活動を行うかどうか
・上陸基準適合性:在留資格ごとに設定された日本へ上陸する条件(= 上陸許可基準)を満たしているかどうか
・相当性:申請人(外国人)に対し、日本へ在留することが適当と認めるに足りる相当の理由があるかどうか
上記3点は法律的な内容が含まれるため別の記事で詳細に解説します。
内容審査では、提出された資料が上記3点について十分な説明根拠となっており、さらに申請人の学歴や職歴といった属性が在留資格と適合しているかが判断されます。
申請により内容は千差万別なので、一つ一つの申請について時間をかけて審査が行われます。提出される資料の数が多くなる在留資格や、条件を満たしているかどうかが数値等で判断しにくい在留資格の場合にはそれだけ長く審査期間が取られます。また、審査を行う担当者数に限りがあるため、多くの申請が集中すると審査が通常よりも長引きます。
追加書類の提出を求められる場合
通常、追加資料の提出依頼は形式審査で不備が見つかった場合に届きます。
ただし内容審査で疑義が生じた場合も追加資料の提出を求められる場合があり、その提出が完了するまで審査がストップし、その結果審査期間が長くなります。
追加書類の提出を求められるということは、提出した資料に不明点があるということなので、追加書類の準備自体にもある程度の時間が必要となる場合がほとんどです。そのため、追加書類の提出ができるだけ無いようにしたうえで申請を行うことが早期に結果を得るためには重要です。
しかし一方で追加資料の提出が求められた場合、少なくとも審査が進んでいると考えることもできます。追加書類の提出指示が来た場合でも、慌てずにできるだけ速やかな対処を行うことで審査期間を長引かせずに済みます。
審査期間の目安となる「在留審査処理期間」とは?
出入国在留管理庁が公式に発表する「在留審査処理期間」
「在留審査処理期間」とは、出入国在留管理庁がWebページ上で公表している全国の地方出入国在留管理局における在留審査処理期間の平均日数をまとめた資料です。「外交」、「公用」以外の在留資格について、「在留資格認定証明書交付申請」、「在留資格変更許可申請」、「在留期間更新許可申請」のそれぞれの申請を受けてから許可に至るまでの期間が一覧としてまとめられています。(不許可処分・申請取下げ等は含まれない)
平成29年度から四半期ごとに発表されていましたが、令和6年10月以降、在留審査処理期間は毎月更新されるようになり、審査結果を予測する上で重要な資料となっています。
2025年9月許可分の「在留審査処理期間」から見る直近の傾向

(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00140.html)
審査期間が長くなる申請種別:認定>変更>更新
上記の表は出入国在留管理庁が公表している令和7年9月許可分の在留審査処理日数です。在留期間更新許可申請と在留資格変更許可申請の場合は申請人が地方出入国在留管理庁に来た日が処分(告知)日となるため、審査にかかった日数が右側に記載されています。
この一覧を見ると、いずれの在留資格においても在留資格認定証明書交付申請が最も日数が長く、次いで在留資格変更許可申請、最も審査日数が短いのが在留資格更新申請だと言えます(更新、変更については審査日数にて比較)。これは、既に日本に在留した期間がある更新、変更申請の場合はその在留状況を審査の材料とできる一方、初めて日本へ来る在留資格認定証明書交付申請は慎重に審査を行うためです。
審査期間が長くなる在留資格:身分系在留資格(配偶者等、家族滞在)、経営管理
続いて在留資格別の期間を見てみます。在留資格認定証明書交付申請の列を上から順にみていくと、一つだけ審査期間が100日を超えている「家族滞在」が目立ちます。その「家族滞在」のすぐ下にある「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」という在留資格も審査日数が長くなっています。これらの在留資格に共通するのは、申請人(外国人)の属性や関係性に応じて付与される在留資格である「身分系在留資格」であるという点です。日本人の配偶者や子どもとして一緒に日本で暮らすための「日本人の配偶者等」や、有効な在留資格を有する外国人の家族として日本で暮らす「家族滞在」といった在留資格は、申請人本人だけではなく家族等の安定性や信頼度、そして申請人との関係性が重視されます。中でも関係性については証明するための書類が複数必要となる場合が多く、それらの真偽を判断するために時間がかかります。特に「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」の在留資格は就労制限が無く自由度の高い在留資格になるため、その関係性(結婚)が在留資格を取得するための偽りのものでないかどうか、慎重かつ厳格に審査されます。
身分系在留資格ではない「経営管理」も審査期間が長期化する在留資格の一つです。「経営管理」の在留資格では事業の安定性、継続性、日本への貢献が十分かどうかなどが多数の資料により説明され、それらの信ぴょう性について審査されるため審査が長くなる傾向にあります。
就労系在留資格の審査期間の決まり方は、活動と所属機関の信頼度
一方の就労系在留資格は在留資格により期間がかなり異なっています。これは活動そのものが明確で分かりやすいものかどうかと、申請人を受け入れる「所属機関」がどの程度信頼できるかによって決まります。例えば「興行」は「演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動」を行う場合に申請する在留資格ですが、この場合の日本での活動内容は比較的明確になります。スポーツ選手が日本で活動する場合、どこかのプロスポーツチームに属して試合に出ることが想定され、その活動を行うかどうかは契約が締結されることで証明できます。また、そのチームが申請人の所属機関となり外国人の日本滞在時の支援を行うと想定されます。そのため、在留資格認定証明書交付までの期間がかなり短くなっています。(ただし、そういった活動が明確ではなく所属機関もプロスポーツチーム等の信頼度が高いものでない場合、在留資格認定証明書は不交付となる可能性が高いです)
「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」の在留資格は雇用する会社・団体の規模や社会的地位が様々なため、審査期間は個別の申請により大きく異なる可能性があります。地方公共団体が所属機関となる公立学校で勤務する場合や上場企業で勤務する場合と、外国人を初めて雇用する中小企業では、同じ在留資格でも所属機関の信頼度が異なります。在留資格ごとの審査期間一覧ではそういった差がすべて平均された日数として出てくるため、注意が必要です。
在留資格申請の結果を早く得るためのポイント
在留資格申請の審査状況は問い合わせできる?
審査結果がなかなか出ないと、どうしても気になって進捗について問い合わせをしたくなります。私たち行政書士にご依頼いただいた場合でも、「結果はまだですか」というお問い合わせをいただくことがあります。残念ながら、審査状況の問い合わせは原則として受け付けてもらえません。地方出入国在留管理庁も多くの申請・審査を行う中で動いておりますので、個別の進捗問い合わせに応じることで他の申請が遅れてしまうのを避けるべく、一律回答しないという運用になっています。(入管法や行政手続法上、進行中の審査の状況開示義務はなく、そのため地方出入国在留管理局では個別問い合わせに応じない運用を取っています。)
ポイント①:審査期間が長くなる”繁忙期”を避ける
審査結果をできるだけ早く得るためには、審査を行う地方出入国在留管理庁があまり混雑していない時期に申請を行うべきです。全体としての申請数が増えている状況ですが、そのような中でも気を付けるべき時期が二つあります。
「留学」の在留資格申請が増える時期
「留学」の在留資格を申請する外国人の多くは、日本語学校に入学予定の方です。そして日本語学校のコース開講時期は毎年4月か10月と決まっているため、その入学時期に合わせた申請が増加します。
就労系在留資格の申請が増える時期
就労系在留資格の申請が増えるのは、多くの企業が採用活動に力を入れ、新入社員を迎え入れる4月に向けた時期です。毎年1月~3月は就労系在留資格の審査に時間がかかると考えられます。
ポイント②:最新の審査期間について情報収集する
今回の記事で解説した「在留審査処理期間」は出入国在留管理庁が公式に発表する資料としてとても信頼性の高い情報ですが、一方で所属機関の違いや追加資料提出までにかかった期間などの要素がすべて平均されています。そのため、個別のケースにはなかなか対応しきれません。そのような場合にほかに参考になる情報としては、やはり似た状況で同じ在留資格に申請したケースがどの程度の審査期間で完了したか、です。
企業での雇用であれば商工会等のネットワークで情報を集めたり、あるいは行政書士等の専門家に相談したりすることで別のケースについて知ることができます。外国人同士は横のつながりがあることも多いため、雇用している外国人社員に聞いてみるのも一つの手段です。
まとめ|審査の仕組みを理解し、余裕をもって申請しましょう
在留資格申請の結果が遅れる背景には、書類内容の精査や在留資格ごとの特性があります。
出入国在留管理庁が公表する「在留審査処理期間」は審査の傾向を知るために有用ですが、あくまで平均であり、個別の事情で前後します。申請をできるだけスムーズに進めるためには、書類の不足をなくし、追加資料を求められない精度で準備することが重要です。
結果が出るまで不安に感じるかもしれませんが、審査の流れと仕組みを理解しておくことで、申請や採用の計画を立てやすくなります。もし準備に不安がある場合は行政書士等の専門家に相談し、事例とともに予想される所要時間を確認したうえで申請しましょう。

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