就労ビザ「技術・人文知識・国際業務(技人国)」とは?|申請条件・仕事内容・注意点を解説

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数ある在留資格の中でも特に有名な一つが「技術・人文知識・国際業務」、通称”技人国”の在留資格ではないでしょうか。日本でのいわゆる「就労ビザ」とはこの在留資格を指すとイメージされているかもしれません。
しかしこの在留資格の名称には3つの分野が並列されており、しかもそれぞれなんだか曖昧でイメージがつかめません。そんな「技術・人文知識・国際業務」の在留資格について分かりやすく解説します。

この記事はこんな人におすすめ!

  • ITエンジニアや事業企画のようなオフィスで働く仕事に就く外国人の方
  • オフィスで勤務する外国人を雇用する企業の担当者
  • 日本で就職活動をして会社員になる留学生の方

技術・人文知識・国際業務(技人国)ビザとは?

技術・人文知識・国際業務の在留資格の定義と範囲

「技術・人文知識・国際業務」とは、専門的な知識を活かして働くための就労系在留資格です。
もともとは「技術」と「人文知識・国際業務」に分かれていた在留資格が、2014年の入管法改正を経て2015年4月1日より統合され、現在の「技術・人文知識・国際業務」となりました。理系・文系という区分で分かれていた在留資格を統合することで幅広い専門知識を要する職種をカバーし、同時に企業等での配置転換や職種変更が発生しても在留資格の変更をせずに済むようにする目的での統合でした。
「技術・人文知識・国際業務」という名称は長いため、会話ではよく「技人国」と呼ばれます。

この在留資格は大学や専門学校で学んだ分野と関連する範囲の業務で日本の企業や団体等で勤務する際に取得します。具体的には、エンジニア・通訳・貿易・マーケティング・営業などの職種が対象となり、オフィスで勤務するいわゆる「ホワイトカラー」と呼ばれる方向けの在留資格です。

他の就労ビザとの違い:「単純労働」ではない就労が求められる

冒頭に述べたとおり「技術・人文知識・国際業務」は専門的な知識を活かして働くための在留資格です。そのために大学や専門学校で学んだことと業務の関連や一致が求められます。したがって、ただ人手不足だからという理由で単純な作業や業務を担当することはできません。知識を活かし、思考して事業を拡大・改善するためのアクションを立案し実践していくことが求められます。この点について、一般的には「単純労働ではない」という表現がされます。逆に言うと「単純労働を認めている」在留資格も存在しており、その代表的なものである「特定技能」の在留資格とはしっかりと区別して取り扱う必要があります。

技術・人文知識・国際業務の在留資格を申請できる人の条件と必要書類

一定以上の学歴及び職務内容との一致(関連)

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を申請する場合、大学や専門学校を卒業しており、かつ学んだ内容と職務内容が一致または関連している必要があります。
職務と学歴の関連性が弱い場合、審査で不許可になることがあるため注意が必要です。
特に、学歴が大学卒業の場合はある程度の柔軟性をもって審査がされますが、専門学校卒(専門士)の場合にはかなり密接な関連が求められます。
具体的には経済学専攻で営業職、情報工学専攻でシステム開発などであれば認められる可能性が高くなります。
なお、学歴がない場合でも、従事しようとする業務に関連する実務経験が原則10年以上(通訳・語学指導など「国際業務」関連は3年以上)ある場合は申請可能です。

給与水準・勤務条件

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は基本的に企業や団体に雇用されている外国人を想定しています。
雇用時の給与等は、日本人と同等以上の待遇であることが求められます。
特に初任給が極端に低い場合、不許可となることがあるため注意が必要です。
また、勤務時間や福利厚生の条件が適正かどうかも審査対象となります。
この点は厚生労働省がルールとしてまとめている「同一労働同一賃金」の考え方とも整合しており、外国人であることを理由に待遇に差をつけることはできません。法律・規則の遵守のみならず、人材の定着という観点からも注意が必要です。

所属機関(会社・団体等)の安定性

「技術・人文知識・国際業務」は会社等に雇用される外国人を想定していることから、それらの外国人の所属機関の信頼性・安定性が重視されます。「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の説明ページを見ると、以下のような「カテゴリー」と呼ばれる所属機関の区分が示されています。

出入国在留管理庁 在留資格「技術・人文知識・国際業務」 ページより (https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html

これは企業の規模や信頼度に応じた区分で、カテゴリー1が最も信頼度が高くなっています。そしてカテゴリー1から順に必要書類が少なくなり、その分結果として審査期間も短くなる傾向にあります。カテゴリー1は上場企業や地方公共団体のように難しい条件ですが、カテゴリー2にはある程度の規模がある、または在留申請オンラインシステムの利用申出が承認されることで該当するため、可能であれば目指していきたいところです。
また、カテゴリーは同じでも過去に外国人の受け入れを安定して行っていたり、ある程度の規模の事業で外国人材を受け入れる目的が明確であれば審査に有利に働きますので、所属機関の信頼度には常に気を付けておきましょう。

技術・人文知識・国際業務の申請で不許可になりやすいポイント

他の就労系在留資格で働く外国人がいる場合

人手不足により外国人を多く雇用する場合、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人に他の就労系在留資格である「技能実習」や「特定技能」の外国人を管理監督させる場合も想定されます。特に同じ国や地域の出身であれば文化や考え方が分かり有利に働くことも多くありますが、一方で業務が明確に分かれていることをきちんと説明できなければいけません。「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で働く外国人が単純労働を行っていないか、またただ書類作成や日々の勤怠を管理するだけでなく、他の従業員をチームとしてまとめられていることを示せるようにしましょう。

「技術・人文知識・国際業務」の外国人が派遣されて働く場合

人材派遣業では外国人の派遣も可能であり、自社での雇用が難しい場合には有効な手段として活用できます。派遣であれば在留資格の管理も派遣元が中心となって行うため、手間も少なく済みます。しかし、派遣先での業務内容が在留資格で認められている範囲を逸脱することは認められません。例えば、外国語を指導する講師を保育園へ派遣したところ、外国語のレッスンだけではなく保育も担当しているという場合、資格外活動となってしまいます。派遣元が入管庁に届け出た業務内容と派遣先で実際に従事する業務内容が一致していることが必要となるため、派遣元、派遣先双方にてしっかりと認識を揃え、在留資格の範囲内で働けるように注意しましょう。

もし不許可になってしまったら

もじ在留資格の申請が不許可となった場合は、必ず「不許可理由通知書」を確認・保管します。申請を行った地方出入国在留管理局へ不許可通知書に加え、身分証明書、パスポート、申請書類の控えなどを持参することで、理由確認の機会を得られます。この確認は原則として1回のみとしている地方出入国在留管理局が多いため、不安な点があれば行政書士等の専門家へ相談の上同行してもらうと安心です。
「どの要件が満たされていないと判断されたか」「改善できる点は何か」等について面談で確認したうえで内容を分析し、足りなかった資料や説明を補って再申請することで許可される可能性が上がります。

まとめ:目的と在留資格を一致させましょう

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は代表的な就労ビザであり、外国人が日本で働くまたは企業等が外国人を雇用する際に一番に思いつくものかもしれません。しかし今回の記事で解説したように、就労(雇用)と在留資格の取得にはいくつかの条件があります。目的と学歴及び業務内容がしっかりと一致しているか、認められた範囲を逸脱していないか、しっかりと確認したうえで申請しましょう。

行政書士等の専門家へ相談すれば業務について問題ないか、そして申請スケジュールについて的確なアドバイスを得られますので、不安な点がある場合には早めに相談しましょう。

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